laaSとは?特徴やメリット、主なサービスについて解説

「laaSとは何かよく分からない…」
「laaSを導入するとどんなことができるんだろう…?」
laaSはクラウドサービスの一種ですが、身近な場面で日常的に使われているSaaSと比べ、よく理解できていない人も多いのではないでしょうか。
そこで、本記事ではlaaSとは何か、SaaS・PaaSとの違い、メリット・デメリット、主なサービスについて説明します。
IaaSの導入を検討している方のご参考になれば幸いです。
laaSとは?
IaaSとは「Infrastructure as a Service」の略で、「サービスとしてのインフラストラクチャー」のことをいいます。
事業者が提供するネットワーク・ハードウェア・ストレージといったインフラ設備をインターネット上で利用できるサービスです。
アカウント開設後にすぐに利用が可能で、ユーザーは事業者の提供するインフラを利用してすぐにアプリケーション開発を行えます。
読み方は基本的に「イアース」ですが、「アイアース」という読み方をされることもあるため注意してください。
(1)laaSの特徴
IaaSはハードウェアやネットワークといったインフラをレンタルし、OSやミドルウェアはユーザーが自由に選択できることが特徴です。
自社でハードウェアを購入したり、一から環境を構築したりする必要がないため、コストを抑え短期間での導入が可能になります。
また、CPUなどインフラのカスタマイズも可能で、自社で仕様を自由に構築できる点も特徴の一つです。
(2)laaSの主な利用用途
IaaSは自由度が高く、Webアプリのテストや開発、ビッグデータの分析やバックアップ、データの統合などさまざまな使い方ができます。
オンプレミスと比べ短期間で導入ができるため、事業者のインフラを借りて短期間でサービスを提供したい場合の利用に向いています。
また、現行のサーバーをクラウド化したいけれど、自社の都合に合わせてカスタマイズしたい場合にもIaaSの利用が適しているでしょう。
SaaS・PaaSとの違い
次に、IaaSと同じクラウドサービスである、SaaSやPaaSとはどのような違いがあるのかについて説明します。
基本的には、三者の違いはサービスを提供する範囲が異なるという点になりますが、具体的にどのような違いがあるのかを以下に見ていきましょう。
(1)SaaSとは
SaaS(サース)とは「Software as a Service」の略で、「サービスとしてのソフトウェア」をいいます。
SaaSは、IaaSが提供するネットワーク・ハードウェア・OSに加え、ミドルウェアや、アプリケーションまでを提供するサービスです。
エンドユーザーがサービスをすぐに利用できるように整った状態で提供され、アカウント開設操作だけで簡単に導入できることが特徴となります。
具体的には、メールサービスやSNSなど、SaaSには身近なところで日常的に利用されているサービスがあげられます。
SaaSについて、詳しくは「SaaSとは?特徴やメリット、主なサービスについて解説」で解説しております。ぜひ併せてお読みください。
(2)PaaSとは
PaaSとは「Platform as a Service」の略で「パース」と読み、「サービスとしてのプラットフォーム」のことをいいます。
PaaSはIaaSで提供するインフラに加え、OSやミドルウェアまでをインターネット上で提供するサービスです。
開発者がアプリケーションをスピーディーに開発・運用したい時の利用に向いています。
IaaSと比べサービスの提供範囲が広く、サービスに含まれるプラットフォームの保守やセキュリティ対策はすべて事業者が行います。
そのため、ユーザーはハードウェアの購入やライセンスなどについて気に掛ける必要がありません。
また、開発ツール、データベース管理システムなど、開発に必要なフレームワークもあわせて提供されるため効率的な開発が可能です。
ユーザーは短期間でアプリケーションを開発し公開できる点がPaaSの大きな特徴です。
PaaSについて、詳しくは「PaaSとは?意味・メリット・サービスを選ぶポイントを解説」で解説しております。ぜひ併せてお読みください。
laaSのメリット
IaaSのメリットは以下の4つです。
・自由度やカスタマイズ性が高い
・コストの削減
・導入期間が短い
・BCP対策の実現
上記のデメリットについて詳しく見ていきましょう。
(1)自由度やカスタマイズ性が高い
IaaSは、インストールするミドルウェアを選択できます。
また、状況に応じてCPU・メモリ・ストレージといったハードウェアのリソースをカスタマイズでき、自社で自由に開発を進められます。
スペックの選択が難しくカスタマイズ性が低いPaaSと比べ、柔軟性や拡張性が高く、自由度の高い開発が可能です。
(2)コストの削減
IaaS製品は、従量課金制が中心で、時間や秒単位など利用した分のみの支払いで済むため、無駄のない利用ができます。
また事業者のインフラをそのまま利用できるので、自社でハードウェアを購入する必要がなく、メンテナンス、セキュリティ対策も不要です。
自社で環境を構築する場合と比べ、初期費用や運用コストを削減できるでしょう。
(3)導入期間が短い
IaaSは事業者が提供しているインフラ設備をインターネット経由でそのまま利用できます。
自社で物理的なサーバー環境を構築する場合には、サーバーの選定や購入などから行う必要があり、導入に時間がかかります。
しかし、IaaSはサーバーの選定や購入などの行程が必要なく、短期間での導入が可能です。
(4)BCP対策の実現
IaaSはクラウド上にデータを保存するため、BCP対策の実現につながります。
BCP対策の「BCP」とは「Business Continuity Plan」の略で、「事業継続計画」のこといいます。
具体的には、自然災害などの非常時に際し、企業がどのようにして損害を最小限に抑え、復旧・事業を継続させるかという計画のことです。
IaaSのサーバーは、災害に強く高いセキュリティ対策が行われたデータセンターに設置されていることがほとんどです。
遠隔地にあるサーバーを利用すれば、災害で自社に損害が生じてもシステムが停止することがありません。
事業者からバックアップの取得も可能なため、BCP対策として有効活用できるでしょう。
laaSのデメリット
本章では、IaaSを利用するメリットについて説明します。
SaaSのメリットは以下の2つです。
・専門知識が必要
・運用に手間や労力がかかる
上記のデメリットについて詳しく見ていきます。
(1)専門知識が必要
IaaSの運用には、高い専門知識が必要です。
IaaSは事業者から提供されるのはハードウェアやネットワークといったインフラのみです。
サーバー設計や構築、OSインストール、導入後の運用や保守、セキュリティ対策などをユーザーが行うことになります。
自由度やカスタマイズ性が高い反面、専門知識がなければ運用が難しいため、知識のあるインフラエンジニアの存在が必須です。
(2)運用に手間や労力がかかる
IaaSは事業者から提供されるインフラ設備をユーザーがレンタルする形で利用するため、事業者側が設備の運用や保守、セキュリティ対策を行います。
ただし、レンタルするインフラは事業者の責任範囲でも、アプリケーションやミドルウェア、OSはユーザーが運用保守を行います。
ミドルウェアやセキュリティのアップデート、バックアップなど、ユーザーが管理を行う範囲も広いため、人的リソースが必要です。
laaSサービスの代表例
本章では、IaaSの代表的なサービス例を紹介します。
IaaSの代表的なサービスには、以下の3つがあります。
・Amazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)
・Azure IaaS
・Google Compute Engine(GCE)
以下に、それぞれのサービスについて詳しく見ていきます。
(1)Amazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)
Amazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)は、「Amazon Web Services(AWS)」の一つとして提供されているクラウドサーバーです。
Amazon Web Services(AWS)とは、Amazonが提供する世界シェア1位を誇るクラウドプラットフォームの総称です。
政府機関や金融機関の規制を満たす高いセキュリティレベルで構築され、アプリケーションやストレージなどのサービスが利用できます。
AWSは世界各地にデータセンターが設置されていますが、国内に2カ所設置されているため、ネットワークの遅延を防ぐことが可能です。
料金は利用した分のみを支払う従量課金制で、用途に応じてコストを必要最小限に抑えながら利用できるなどのメリットがあります。
Amazon Web Servicesの一つ「Amazon Elastic Compute Cloud」は、仮想サーバーを構築しアプリケーションの実行が可能なサービスです。
アプリケーションの公開、テスト環境として利用できます。
サーバー構築時にはOSなどのカスタマイズが可能なほか、サーバーのCPU・メモリ・容量などスペックの変更が可能です。
早ければ5分以内にサーバーを構築でき、自社でサーバーを設置しネットワークを構築する手間やコストを削減できるでしょう。
また、サーバーの複製が簡単にでき、用途ごとに複数のサーバーを作成することもできることも特徴です。
(2)Microsoft Azure
Azure IaaSは、Microsoft社が提供するクラウドコンピューティングサービス「Microsoft Azure」の機能の一つです。
Microsoft Azureは、初期費用不要・従量課金制で利用でき、世界各地にデータセンターが整備され、国内にも2拠点を有しています。
データセンターの場所が選べるため、国内にデータを保存することも可能です。
Microsoft Azureは、Windows系のオンプレミスサーバーと親和性があり、連携が可能なところが大きな特徴です。
Microsoft製品と連携が可能で、Windows環境からの移行しやすいため、自社のオンプレミス環境をクラウド化したい場合にも活用できるでしょう。
Microsoft AzureのIaaS製品である「Azure IaaS」には、以下のようなサービスがあります。
・「Azure Virtual Machines」:クラウド上の仮想マシンサービス
・「Azure Arc」:クラウドやオンプレミスのリソースを統合管理でき、ハイブリッドやマルチクラウドを実現するためのサービス
Azure Arcは、オンプレミスやプライベートクラウドを利用し、リソースを分散して管理している企業の利用に向いています。
Azure Arcを利用すると、分散しているリソースを一元管理でき、管理の煩雑さを解消できるでしょう。
(3)Google Compute Engine(GCE)
Google Compute Engine(GCE)は、Googleが提供するパブリッククラウドサービス「Google Cloud Platform(GCP)」の機能の一つです。
Googleが自社で使用している技術やインフラを利用した、機械学習やビッグデータ分析などのさまざまなサービスを利用できます。
Google Cloud PlatformはGoogle検索エンジン、Googleマップといったサービスに活用されており、ユーザーは同じ環境を利用できます。
「Google Compute Engine(GCE)」は、Googleのインフラ上でWindows、もしくはLinuxベースの仮想マシンを作成することができるサービスです。
上述した「Amazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)」に相当するサービスになります。
料金は利用時間などに基づいて支払う従量課金制で、継続利用割引がありコストを抑えた運用が可能です。
まとめ|laaSの導入で自由度の高いプラットフォームを運用できる
IaaSはクラウドサービスの一つで、ネットワーク・サーバー・ストレージといったインフラをインターネット上で提供するサービスです。
ユーザーはミドルウェアやOSを自由に選択でき、インフラのカスタマイズも可能なため自由度の高い開発が可能です。
また事業者のインフラを活用できるため、自社で一から環境を構築するのと比べ短期間・低コストでの導入や運用が可能になります。
初期費用や運用コストを抑え、自由度の高いプラットフォームを短期間で導入したい場合に利用を検討してみるといいでしょう。

\今すぐ無駄をなくしませんか?/
メタップスクラウド編集部
「メタクラブログ」は、株式会社メタップスが運営する公式メディアです。当メディアでは、企業のセキュリティ対策や業務効率化に役立つコンテンツの情報を発信しております。