情シスとは? 概要や業務内容、現場の課題を解説!

「情シスでは難しい業務を行っているのでは?」
「情シスの必要性が薄くなってきているといわれているけど本当?」
「情シスと社内SEは何が違うの?」
ITの知識を活かして働ける職場として「情シス」の仕事を検討している方もいるでしょう。
売り上げや成果物が目に見えない情シスは、外部から「よくわからない仕事」と思われてしまうことも多いようです。
今回は、情シスについて以下の情報をわかりやすく解説します。
- 情シスとはなにか、なぜ必要なのか
- 代表的な4つの業務内容
- 情シスと社内SEの違い
- 情シスが抱える2つの課題
今後のキャリアを考えている方のために、情シスのリアルな課題についても触れてみました。
情シスの職場が自分に適しているか判断したい方は、ぜひ一読してみてください。
情シスとは?
情シスとは、どのような存在なのでしょうか。まずは、情シスの役割がわかるように、概要や設置 の背景などを解説します。
(1)情シスの概要
情シスとは、情報システム部の略称です。IT戦略部など企業によって部署の名称は異なることが あります。
社内のパソコンやサーバー、ネットワークなどを管理する部署として知られ、IT環境の整備によっ て社員の仕事を効率化することが大きな役割です。
ときには、システムのエラーに対応したり、エクセルの使い方を教えたり、Web会議の準備を手 伝ったりします。
(2)仕事に満足している情シスは多い
弊社は、企業の情報システム担当者318名に対して、情シスの仕事に関する満足度調査を行い ました。
「2021年度のご自身の情シスとしての仕事を振り返ってみて、どの程度満足していますか。」とい う質問に対して、「非常に満足している」と答えた方の割合が17.6%、「やや満足している」と答え た方の割合が54.4%でした。
調査対象者のうち7割以上の社員が、情シスの仕事にやりがいを感じているとわかります。
情シスは社内のメンバーをサポートするので、感謝の言葉をもらえる機会が多く、やりがいを感じ やすい仕事なのでしょう。
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(3)情シス設置の背景
企業で仕事をするには、IT機器を利用するのが当たり前となっています。同時に、IT機器やシステムを専門に取り扱う情シス設置の必要性も、増してきました。
業務に必要なIT機器を導入しても、すべての社員 がうまく使いこなせるわけではないからです。
社内にシステムを導入してもシステムのエラーが起きる可能性もあります。
実際、近年になって大手銀行でも度重なるシステム障害が話題となりました。システムの老朽化 や経営陣の情報システムに対する無理解などが問題視されています。
したがって、システムの現状を正しく把握・運用して定期的なメンテナンスをするために、情シス の設置が重要だとわかります。
また、近年では政府がDXを推進しています。DX(Digital Transformation)は、ビジネス環境の激 しい変化に対応するために、データやデジタル技術を活用して業務や組織を変革させ、競争上の 優位性を確立する変革です。
DXに成功すれば、業務を効率化できます。ビジネスを優位に展開するためにも、社内のIT環境 を整備する「情シス」の役割はさらに重要になるといえるでしょう。
参考:「DX 推進指標」とそのガイダンス 令和元年 7 月 経済産業省
情シスの気になる業務内容
情シスが自分にあった職場なのかを知るためには、業務内容を理解しておくことが重要です。
情シスの具体的な業務内容を4つご紹介します。
- 社内システムの構築・運用・管理
- IT機器の導入・運用・管理
- セキュリティ対策・強化
- サポート(ヘルプデスク)
それぞれの詳細を解説します。
(1)社内のシステムの構築・運用・管理
情シスの代表的な業務内容は、社内のシステムの構築や運用、管理です。
独自のシステムを構築する場合もあれば、既存システムの中から自社の体制に合ったサービスを比較検討して、導入するケースもあります。
社員がスムーズにシステムを利用できるように、関係部署、SIベンダーなどとも連携をします。たとえば、経営管理情報を収集する会計システムを開発する場合、財務経理部門との連携が必要 になるでしょう。
関係者の意見や要望をまとめて、各自が納得できるシステムを構築しなくてはなりません。苦労 が大きい分、開発の達成感も大きくなっています。
開発後にシステムに不調があると、利用者がビジネスに集中できません。したがって運用・管理 も情シスの仕事に含まれます。
(2)IT機器の導入・運用・管理
情シスはIT機器の導入・運用・管理も担当します。
IT機器をひとつ導入するにしても、他の機器環境に合わせて適切に接続し、従業員が使えるように操作指導したあと、メンテナンスやトラブル対応を続けなければいけません。
たとえば複合機の一斉導入を主導するケースがよい例でしょう。ベンダーの選定や使用端末へのドライバーインストール、社員への操作方法の案内などを行います。
単に、IT機器を導入すればよいというわけではありません。機能や価格を把握してコスト削減を 目指す必要があります。
また、社内のIT機器を運用・管理することも情シスの仕事です。数百台を超えるPC端末を運用・ 管理して社員が仕事をしやすい環境に整えます。
近年は、在宅勤務が主流になっているので、社内システムへの接続環境や、自宅でPCが壊れた ときの復帰体制なども検討しなければなりません。
(3)セキュリティ対策・強化
情シスでは会社のセキュリティ対策も担当します。
ウイルスによるデータ破壊や、従業員による情報漏洩を防ぐために、対策を考え実行します。 社員のパスワード管理も、セキュリティ関連の業務のひとつです。
セキュリティ対策に100%の安全はありません。また、セキュリティ対策が厳しすぎてしまうと、システム利用環境が不便になり、関係者の利用満足度を 低下させてしまいます。
従業員がスムーズに業務を実行できる環境の整備、大切なデータを脅威から守る対策、その両方をバランスよく実現する施策を行います。
(4)サポート(ヘルプデスク)
システムの利用に関して社内ユーザーからの問い合わせに対応するヘルプデスクの 役割も情シスの仕事です。
インターネット接続に関する内容やシステムに関する要望なども受け付 けます。
問い合わせが多くなると、情シスの負担も増えてしまいがちです。そのため、マニュアルやFAQを 作成し、メンテナンスを行うこともあります。
情シスが抱える2つの課題
情シスで働いたときに後悔しないように、リアルな現実を知っておきたい方もいるでしょう。ここでは、情シスの課題を2つ取り上げてみます。
- 一人で情シスの業務を担当する職場がある
- 自社ITについて経営者の理解が薄い
それぞれ、確認していきましょう。
(1)一人で情シスの業務を担当する職場がある
弊社は2021年9月、情報システム部門に所属している会社員514名に対して「ひとり情シス」に関 する実態調査を行いました。
「あなたの会社では、現在社内のITインフラを担当している人は何人いますか。」という質問に対 して、1人と回答した社員が11.4%という結果が得られました。
一人で情シスの業務を担当しなければならない会社があるとわかります。即戦力として活躍でき る自信がなければ、転職先として選びづらいでしょう。
(2)自社ITについて経営者の理解が薄い
続いて、弊社は2022年1月、情報システム部門に所属している会社員507名に対し、情シスの本 音に関する実態調査を行いました。
「あなたは、お勤め先の経営者が自社ITについて十分に理解してくれていると思いますか。」とい う質問に対して、「全くそう思わない」と回答した社員が7.8%、「余りそう思わない」と回答した社員 が28.0%という結果が得られました。
3分の1を超える割合の社員が、自社ITについて経営者の理解が薄いという悩みを抱えていると わかります。
「全くそう思わない」「余りそう思わない」と回答した社員に対して、「どのような場面で、経営者が 自社ITについて理解してくれていないと感じますか。」という質問した結果、「自社にITの課題が あるが、経営者が予算をおろしてくれない」という回答の割合が31.5%、「自社ITについて、説明し ても理解されない」という回答の割合が38.1%でした。
現場で課題が判明しても、経営者に理解してもらえず、予算がおりづらいようです。経営者を納 得させるプレゼンスキルが、情シスで働くうえで重要だとわかります。
中小企業の経営者と情シスの意識の違いについて、独自に調査したレポートを用意しています。無料でダウンロードできますのでぜひお役立てください。
まとめ
情シスの概要をはじめ、業務内容や社内SEとの違い、現場の課題などを解説しました。
情シスの仕事は、社内システムやIT機器の導入・運用・管理、セキュリティ対策、ヘルプデスク業 務などです。
社内SEと違って、プロジェクトごとに勤務場所が変わらず、共感する理念の会社で落ち着いて働 けます。社内SEとほとんど業務内容が変わらないので、社内SEからの転職を目指すのにおすす めです。
ただ、一人で働く部署があるほか、経営者に自社のITを理解してもらえない場面もあります。
業務内容や課題を理解したうえで、情シスの仕事を検討してみてください。
