SaaS導入5つのプロセス、メリット・デメリットや要チェック項目まで解説

「SaaSの導入は、何から始めればスムーズに進むのだろうか…」
「導入するSaaSはどれがいいのか、事前にチェックするポイントが知りたい。」
SaaSは企業の課題を解決するツールとして、近年注目を集めています。
しかし、SaaSについてよく知らなかったり、うまく導入できていなかったりする方も多いのではないでしょうか。
本記事では、SaaS導入のプロセスやメリット・デメリット、導入前に確認しておくべきポイントを解説します。
SaaSについて理解すれば管理が容易になり、組織としてまとまりやすくなります。企業の課題を解決するため、本記事を参考にSaaSへの理解を深めましょう。
SaaSについては、「SaaSとは?特徴やメリット、主なサービスについて解説」 で詳しく解説しています。ぜひ併せてお読みください。
SaaS導入のプロセス5ステップ
本章では、SaaS導入のプロセスについて解説します。SaaS導入のプロセスは、下記の5ステップです。
- 解決したい課題を明確にする
- SaaSを比較検討する
- ベンダーと共に導入の計画を作る
- 導入作業を実行する
- 運用しながら最適化する
ただ、上記は一般的なプロセスです。運用体制は企業ごとに異なるため、ご参考としてご覧ください。
(1)解決したい課題を明確にする
まずは、解決したい課題を明確にしましょう。課題の具体例は、ペーパーレス化やテレワークへの対応などです。
一言でSaaSと言っても、会計ソフトやコミュニケーションツールなど、さまざまな機能があります。
どんな課題を解決したいかを明確にしなければ、どの種類のSaaSを導入すべきか分かりません。
たとえば、ペーパーレス化を進めるためにファイルストレージのSaaSを導入する、テレワーク対応のために、会計業務をクラウド化するなど目的があってこその導入です。
目的を達成するための課題が分からないまま、手段であったはずのSaaSの導入自体が目的になってしまうのは、よい結果には繋がりにくいでしょう。
場合によっては、SaaSの導入が最適解ではないと判明することもあります。どんな課題を解決するためにSaaSの導入を検討しているのかを明確にしましょう。
(2)SaaSを比較検討する
課題が洗い出せたら、SaaSを比較検討しましょう。タスク管理や会計ソフトなど、SaaSごとに機能が異なるため、課題を解決するための適切なSaaSを探し出す必要があるからです。
SaaSごとに連携できるシステムが違うため、現在の運用体制にあったものを選びましょう。連携できないとデータが散乱してしまうため、SaaSを管理するツールを導入するのもおすすめです。
注意点として、単純に機能が多いからという理由で選ぶのはやめましょう。
たとえば、ビジネスチャットだけを使いたいのに、Web会議やタスク管理、会計ソフトなど多数の機能があるSaaSを選んでしまうケースです。機能が多くても、使わなければ意味がありません。
機能が多いと、より費用がかかるケースが多いです。無駄な費用をかけないためにも、自社の課題を解決するために必要なものを選びましょう。
(3)ベンダーと共に導入の計画を作る
導入するSaaSが決まったら、ベンダー(SaaS提供元の会社)と共に導入の計画を作りましょう。
話し合いの内容は、どのサービスを利用し、どのくらいのコストがかかるかなどです。同じ会社の中でもさまざまなプランがあり、無料や月額制、従量課金制など費用形態も異なります。
どのプランが自社にとって一番よいのかは、ベンダーの担当者とよく話し合いましょう。既存システムとの連携やセキュリティ、導入後のサポート体制など、気になることはこの時点で聞いておくのがおすすめです。
(4)導入作業を実行する
ベンダーの担当者との打ち合わせが終わり、利用するサービスやコースが決まったら、導入作業を実行しましょう。
いきなり全社に導入すると、運用方法が分からず、トラブルになる可能性もあります。トライアルとして従業員の一部から段階的に使用し始めると、トラブルのリスクが減少します。
ベンダーに相談して、トライアルができるかどうか確認しましょう。
導入には、スケジュール調整や各部署の調整が必要です。社員の理解が得られないと、SaaSを導入してもうまく使えないため、慎重に進めましょう。
2週間~1カ月ほどトライアルを行えば、ある程度のデータが取れます。改善点は修正し、問題がなければ運用を開始しましょう。
(5)運用しながら最適化する
運用が始まれば、修正点や改善点が出てきます。社員からその都度情報を集め、最適化していきましょう。
全員に活用してもらうため、全社導入前に従業員への説明会を行うのがおすすめです。
定期的に運用状況をチェックし、従業員がうまく使えているか、課題解決に役立っているかを確かめます。
コストに見合った使い方がされているかもポイントです。従業員間で運用の差がある、本来の目的から外れているなどの場合は、早急に軌道修正しておきましょう。
SaaS導入による3つのメリット
ここでは、SaaS導入のメリットについて解説します。SaaS導入のメリットは、下記の3つです。
- システムの構築や運用が不要になる
- テレワークの対応に適している
- 導入コストを抑えられる
SaaS導入を検討している場合は、SaaSにどんなメリットがあるかを知っておきましょう。
(1)システムの構築や運用が不要になる
SaaSを導入すれば、システムの構築や運用が不要です。
自社でシステムを作る場合だと、サーバーを用意したりシステムの要件を設計したりといった、構築から運用までを自社で行う必要があります。
一方、SaaSであればすでに完成したシステムを利用できます。運用担当も提供元の会社です。
システムの構築や運用が不要になり、すぐに使い始められるのはSaaS導入の大きなメリットです。
(2)テレワークの対応に適している
SaaSはテレワークの対応に適しています。
基本的にSaaS利用に必要なものは、インターネット環境のみです。インターネットが使えれば、パソコンやタブレット、スマートフォンからもSaaSを利用できます。
一つの場所に集まっていなくても各々がSaaSにアクセスできるため、テレワークで非常に活躍します。
たとえば、Web会議のSaaSを導入すれば、各々が自宅にいながら会議を行えます。会計ソフトのSaaSを導入すれば、経理関係をテレワークで作業可能です。
コロナ禍の今、テレワークは一般的になっています。テレワークの対応に適しているのはSaaSのメリットです。
(3)導入コストを抑えられる
オンプレミス(自社で開発するシステム)と比べると、SaaSは導入コストを抑えられるケースが多いです。
サーバーやシステム構築を1から行う場合、機器の購入や人件費で導入コストが高額になります。
対してSaaSは、すでに用意されたシステムを月額料金を支払って使用するため、導入コストが不要なケースもあります。
事業の立ち上げ時期や転換期でシステムを導入する際コストを抑えられれば、別の経営戦略に予算を当てるなど調整もしやすくなるでしょう。
自社で開発するよりも導入コストを抑えられるのは、SaaS導入の大きなメリットです。
SaaS導入で見逃せない3つのデメリット
ここでは、SaaS導入のデメリットについて解説します。SaaS導入のデメリットは、下記の3つです。
- セキュリティ対策が複雑になる
- 細かいカスタマイズに向いていない
- サービスが終了すると使えなくなる
後々後悔しないように、SaaS導入のデメリットも把握しておきましょう。
(1)セキュリティ対策が複雑になる
SaaSにもセキュリティ対策は必要です。ただ、SaaSはいわば外部サービスのため、セキュリティ対策が複雑になってしまいます。
たとえSaaSが安全でも、社内や組織内のデバイスやシステムが攻撃を受ければ、間接的にSaaS上のデータにアクセス可能です。
スマートフォンなどのデバイスを失くす、誤ってデータを流出させるなど、人為的なミスで安全性が脅かされるケースもあります。
SaaSのセキュリティ対策としては、デバイス自体のロックやログイン時の二段階認証に加え、人為的なミスを防ぐためのマニュアルも準備しておくとよいです。
(2)細かいカスタマイズに向いていない
SaaSはカスタマイズ性が低いです。サービスのシステムに、作業内容や管理方法を合わせる必要があります。
クラウドサービスの中でも、PaaSはアプリケーションの構築からでき、IaaSはソフトウェアの構築が可能です。
PaaSやIaaSと比べるとSaaSは細かいカスタマイズに向いていない点は、デメリットと言えます。
自社のシステムに合わせてクラウドサービスを利用したいならば、SaaSではなく、他のサービスを検討した方がよいでしょう。
(3)サービスが終了すると使えなくなる
SaaSはあくまで提供されているサービスのため、サービスが終了したら使えなくなります。
サービスが終了するかどうかは、サービス提供元の会社以外分かりません。
万が一サービスが終了したら、他のサービスに乗り換える必要があります。
しかし、移行が難しいケースもあるので注意が必要です。
障害やメンテナンスによって影響を受けるタイミングもあるため、頭に入れておきましょう。
SaaS導入前にチェックしておくべき3つのポイント
本章では、SaaS導入前にチェックしておくべきポイントについて解説します。SaaS導入前にチェックしておくべきポイントは、下記の3つです。
- 既存のシステムと連携できるか
- 導入によって新たな課題は発生しないか
- 隠れた導入コストは発生しないか
後悔しないよう、SaaS導入前に目を通しておきましょう。
(1)既存のシステムと連携できるか
既存システムとの連携は、確認しておきたいポイントです。すでにシステムを導入している場合は連携できた方が効率的に作業でき、社内のデジタル化を進められます。
ただ、SaaSはすべてのシステムと連携できるわけではないため、互換性を確認する必要があります。
SaaSの種類によって連携できるものとできないものがあるため、導入前に確認しておきましょう。
また、デバイスもパソコンのみを前提としているSaaSもあるため、スマホやタブレットの使用を考えているならチェックしておきましょう。
(2)導入によって新たな課題は発生しないか
SaaSは現在の業務を効率化したり、課題を解決したりするために導入します。導入によって新たな課題が発生しないか、確認しておきましょう。
たとえば、SaaSを導入するために自社の業務形態を変えなければいけない、セキュリティ面で情報漏えいのリスクが高くなってしまうなどです。
課題解決のためにSaaSを導入したのに、新たな課題が発生してしまったら元も子もありません。
導入前に防げるものは防ぎつつ、それでも新たな課題が発生しうる場合は、慎重に検討しましょう。
(3)隠れた導入コストは発生しないか
SaaS導入に際して、隠れた導入コストが発生しないかを確認しておきましょう。サービスの利用料金のほかに、コストがかかるケースがあります。
たとえば、新たなセキュリティソフトの導入コストや、移行の際のコストなどです。
SaaSにもセキュリティ対策は必要なため、新たにセキュリティソフトを導入しなければならないケースがあります。
また、SaaSの中でもさまざまなサービスがありますが、サービス間での互換性は無い場合がほとんどです。そのため、サービスを移行する際に大きな手間とコストがかかります。
上記のような隠れた導入コストが発生しないかは、導入前に確認しておきましょう。
SaaS導入に関する”よくある質問”
最後に、SaaS導入時によくある下記の質問に回答します。
- SaaSの代表例を教えてください
- SaaSの導入事例はありますか?
- SLAとはなんですか?
SaaSの導入を検討している場合は、参考にしてください。
(1)SaaSの代表例を教えてください
SaaSの代表例は、下記のとおりです。
SaaSと一言で言っても、さまざまなサービスがあります。自社に必要なサービスを見極めて、導入しましょう。
(2)SaaSの導入事例はありますか?
弊社が提供するSaaS、「メタップスクラウド」の導入事例をご紹介します。
企業A様は、SaaSをいくつも導入していたため、増え続けるSaaSの管理が大変でした。
弊社のメタップスクラウドを導入したところ、後回しになっていたSaaS管理が可視化され、ひとつのツールでSaaSの利用状況をチェックできるようになりました。
参考:メタップス「脱エクセル・脱属人化!複雑な組織体制も一元管理で解決!」
SaaSは増えてくると、管理が大変になります。管理できないと本来の導入目的が達成できなくなってくるため、SaaS管理は重要です。
弊社のメタップスクラウドは、SaaSを一元管理できるツールです。コストの削減と安全なアクセス環境を提供いたしますので、SaaS管理でお困りの企業様はご相談ください。
(3)SLAとは何ですか?
SLAはサービス提供者と利用者の間で結ばれるもので、「提供するサービスのレベルや運営ルールを明文化したもの」です。
設定されるSLAの要素は、主に下記の6つです。
- 前提条件
- 委託範囲
- 役割と責任
- サービスレベル項目
- 結果対応
- 運営ルール
SLAは主にSaaSなどのクラウドサービスで用いられ、サービスのレベルがSLAで定めたレベルを下回ると、料金の減額などが行われます。
SLAは、SaaSサービス契約時によく確認しておきましょう。
参考:経済産業省「SaaS 向け SLA ガイドライン」
まとめ
SaaSを導入する際は、いくつか手順を踏む必要があります。具体的には、次の5ステップです。
- 解決したい課題を明確にする
- SaaSを比較検討する
- ベンダーと共に導入の計画を作る
- 導入作業を実行する
- 運用しながら最適化する
SaaSと言ってもさまざまなサービスがあるため、自社の課題を洗い出し、課題を解決できるようなSaaSを導入しましょう。
ただ、SaaSにはメリット・デメリットや、導入前に確認しておくべきポイントが多々あります。チェックするポイントを明確にし、SaaSの導入を進めましょう。

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メタップスクラウド編集部
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