パスワードを記録するツール「パスワードマネージャー」とは?メリット・デメリットを解説

「パスワードを毎回入力する手間って、減らせないのかな…」
「パソコンがパスワードを記録するのって、どういう仕組みなんだろう」
「パスワードを記録する機能を使いこなしたい!」
デジタル化が進行している近年、サービスを利用するためにID・パスワードを発行するのは、当たり前になりました。
個人利用・ビジネス利用を問わず、現代の人は毎日何らかのサービスにログインして、生活や仕事に役立てています。
一方で、パソコンを変えた場合や久しぶりに使うサービスなどは、パスワードを忘れてログインができず、困ってしまうこともありますよね。
そんなパスワード管理をあなたに代わって行い、記録してくれるシステムがパスワードマネージャーです。
パスワードマネージャーを活用すれば、パスワードの記録管理のわずらわしさがなくなるだけでなく、セキュリティも強化できます。
本記事では、パスワードマネージャーのメリットやデメリットを解説しています。
便利に使いながらセキュリティ強化するため、ぜひ最後までご覧ください。
パスワードを記録する「パスワードマネージャー」とは?
パスワードを記録するアプリが「パスワードマネージャー」です。
WebサービスなどのID/パスワードを登録、管理できます。
登録されたものを一括で管理できるので、覚える必要がありません。
使用するWebサービスは、場合によっては、定期的にパスワードの変更を求められていますが、その変更にも追従することが可能です。
パスワードマネージャーを使えば、パスワード管理の煩わしい作業を解決してくれます。
パスワードマネージャーでパスワードを記録するセキュリティ上の利点
パスワードマネージャーはただ便利なだけでなく、セキュリティの面でもメリットがあります。
具体的な理由は、次の2つです。
・パスワードの使い回しを防げる
・パスワードのメモを残す必要がなくなる
それぞれ解説していきましょう。
(1)パスワードの使いまわしを防げる
パスワードマネージャーを使えば、パスワードの使い回しを防げます。
パスワードマネージャーが自分の代わりにパスワードを覚えてくれるため、使い回すことがなくなるからです。
パスワードの管理をマンパワーで行うと、同じようなパスワードを設定する場合が多いです。
使いまわしていたパスワードがひとつでも漏えいしてしまうと、芋づる式に他のサイトやサービスもログイン、閲覧されてしまいます。
大切な情報を守るには、サービスごとにパスワードを変えたほうがよいです。
とはいえ毎回オリジナルのパスワードを自分で管理するのは現実的ではありません。
パスワードマネージャーならパスワードを随時発行して管理するので、パスワードの使いまわしを防ぎ、セキュリティを強化できます。
(2)パスワードのメモを残す必要がなくなる
パスワードマネージャーでは、パスワードをメモに残して保存する必要がなくなります。
必要なパスワードは、パスワードマネージャーに記録されているからです。
メモや手帳にパスワードを残す必要がなくなれば、盗難や紛失によって情報が漏洩してしまう心配も減るでしょう。
パスワードマネージャーでパスワードを管理すれば、メモにパスワードを残さなくなり、情報漏洩の危険を回避できます。
他人に自分のパスワードを利用されないようにするには、安全なパスワードが必要です。
安全なパスワードについて総務省は、他人に推測されにくく、ツールで割り出しにくいものと定義しています。
反対に、危険なパスワードには以下のような特徴があります。
・自分や家族、ペットの名前が使われている
・英単語ひとつだけをパスワードにしている
・同じ数字の繰り返しなどわかりやすい文字列になっている
・文字数が少なすぎる
パスワードの管理についても、他人に教えず秘密にし、電子メールなどで送ったりせず、メモも人目についてはいけないとされています。
パスワードマネージャーでパスワードを記録するユーザーのメリット
パスワードマネージャーでパスワードを記録するのは、ユーザーにとってもメリットがあります。
代表的なものは、次の3つです。
・デバイスを問わず使用できる
・パスワード入力のわずらわしさが軽減する
・久しぶりのログインでパスワードを思い出す必要がない
それぞれ詳細を説明します。
(1)デバイスを問わず使用できる
パスワードマネージャーに登録されたID/パスワードをスマホやタブレット、PCなどマルチデバイスで使用できます。
デバイスから、デバイスマネージャーにアクセスすれば、登録されたID/パスワードを読み出せるのです。
デバイス毎にパスワードを覚えると、タブレットのパスワード更新がスマホには反映されず、サービスにアクセスできない場合があります。
デバイスマネージャーを使うことによって、マルチデバイスで、ID/パスワードを管理できるようになるのです。
(2)パスワード入力のわずらわしさが軽減する
パスワードマネージャーを使えば、サービスごとに毎回パスワードを入力するわずらわしさが軽減します。
一回一回のパスワード入力時間は短いかもしれませんが、毎日いくつものサービスを利用しているのであれば、想像よりも時間を使っているかもしれません。
たとえばチャットツールを使って仕事の連絡をし、データのやりとりにクラウドストレージを使い、終業後はSNSにログインするなど、パスワードが求められる機会は意外と多いものです。
パスワードを一元管理して、入力のわずらわしさを軽減できることは、パスワードマネージャーのメリットです。
(3)久しぶりのログインでもパスワードを思い出す必要がない
3ヵ月や半年に一度ログインするようなサービスの場合、パスワードを確認するのにも時間がかかることが多いです。
メモや以前の履歴を確認する手間があるからです。
パスワードマネージャーを使用すれば、最終ログインから時間が空いたサービスでもスムーズにログインできるようになります。
パスワードマネージャーでパスワードを記録するデメリット
パスワードマネージャーは、いいことばかりではありません。
注意点もよく理解して使用する必要があります。
注意するべきポイントは、以下の3つです。
・パスワードマネージャー自体のセキュリティが弱い場合がある
・不正アクセスされるとパスワードがすべて流出する
・サービスが終了する可能性がある
それぞれ深ぼって詳細まで説明します。
(1)パスワードマネージャー自体のセキュリティが弱い場合がある
パスワードマネージャーにはいくつものサービスがあり、中にはセキュリティが弱いものがあるのがデメリットです。
パスワードを管理するという機能は同じでも、その記録方法や追加機能にはそれぞれ違いがあります。
ユーザーが入力したパスワードをそのまま記録するタイプや、記録したパスワードをさらに暗号化して管理するタイプなどさまざまです。
パスワードマネージャーを導入する際は、セキュリティの信頼できる提供元を選ぶとよいでしょう。
(2)不正アクセスされるとパスワードがすべて流出する
不正アクセスがあった場合に、登録しているパスワードが流出する場合があります。
パスワードマネージャーは、パスワードを一括で管理することがメリットなので、パスワードが流出した場合、登録しているパスワード全てが流出してしいます。
不正アクセスにより全てのパスワードが流出してしまう恐れがあるのです。
セキュリティ性が高いサービス、アプリを採用することが必要があるのです。
(3)サービスが終了する可能性がある
基本的にアプリやサービスはいつでも使い始められて、やめられます。
提供会社の運営状況によっては、サービスが突然停止することがあるのです。
一般的にサービスが停止する場合は、事前に告知があります。
そのため、停止する旨の告知から実際に停止するまでの間に、データを移管する必要があるのです。
サービスが終了することを考えて、パスワード管理サービスを適宜チェックすることをお勧めします。
個人のパスワード記録に向いたサービス3選
個人のパスワードマネージャーに便利なサービスを3つ紹介します。
・Googleパスワードマネージャー
・1Password
・パスメモ
それぞれ解説していきましょう。
(1)Googleパスワードマネージャー
検索エンジンで有名なGoogleは、Webサイトで入力するID/パスワードを管理するパスワードマネージャー機能を有しています。
Googleのサービスは、無償で使えることが最大の特長であり、パスワードマネージャーもその一つです。
同サービスを利用する場合、ブラウザの「Google Chrome」を使用する必要があります。
Androidデバイスを使用している方やPCでGoogle Chromeをブラウザに使用している方は、手軽でおススメのパスワードマネージャーといえるでしょう。
(2)1Password
1Passwordは、世界で1500万人以上のユーザーが愛用するパスワードマネージャーです。
有料プランとなっており、個人プラン、家族プラン、ビジネス/チームプランがあります。
無制限のデバイスで使用可能で自宅、職場でも所有しているPC、タブレット、スマホで1Passwordを使用できます。
データ漏洩がないかを常にチェックしているため、危険なウェブサイトや脆弱なパスワードのアラートを受信し、安全性を維持できます。
一般的なパスワードマネージャーの持つ機能を全て網羅しており、パスワードマネージャーとして、有名なツールの一つです。
(3)パスメモ
パスメモは、NSW株式会社(旧:日本システムウエア株式会社)が提供する無償のパスワードマネージャーです。
保存できる情報として、ID・パスワード情報以外にタイトル・URL・カテゴリ・メモなどがあります。
起動時にマスターパスワードの入力を3回間違えると、保存しているパスワードデータを全て消去することも可能です。
パスワードの一覧からソート機能で登録順・ タイトル・ 利用頻度・カテゴリから、見たいパスワードを探せます。
簡単に使えて、面倒な移行も楽にできるよう配慮されています。
まずは、無償で試したい方におススメのアプリです。
ビジネスのパスワード記録に向いたサービス3選
ビジネスでのID/パスワード管理はセキュリティ性が高い有償なサービスが必要といえます。
情報漏えいは、企業のイメージを下げ、損害賠償に発展する場合があるからです。
例としては、以下の3つがあります。
・トレンドマイクロ パスワードマネージャー
・ノートン™ パスワードマネージャー
・Microsoft Authenticator
それぞれ解説していきましょう。
(1)トレンドマイクロ パスワードマネージャー
セキュリティソフトなどで、有名なトレンドマイクロが提供するパスワードマネージャーです。
ID/パスワードを一元管理して、クラウド上に保存します。
最高レベルの暗号化方式の一つであるAES 256bitで情報の保護が可能です。
また、マスターパスワードが採用されており、マスターパスワードの入力以外にも指紋認証、顔認証が用意されているので安心です。
常に、個人情報が流出していないかモニタリングしており、万が一流出が確認された場合は警告とともに対処方法の連絡があります。
セキュリティツールで有名なトレンドマイクロによるセキュリティ性が高い、パスワード管理ソフトといえるでしょう。
(2)ノートン™ パスワードマネージャー
ノートン パスワード マネージャーは、1つのマスターパスワードでデータ保管庫のロックを解除するため、パスワードを記憶することなく簡単にアカウントにログインできます。
パスワード、クレジットカード情報およびオンライン資格情報などすべてを、個人専用の暗号化されたクラウド型データ保管庫で安全に作成、格納、管理が可能です。
作ったパスワードに脆弱性がないかチェックを行い、より複雑なパスワードに自動で更新します。
マルチデバイスにも対応しており、1クリックでID/PASSが入力できるのが特徴です。
(3)Microsoft Authenticator
Microsoft Authenticatorは、Microsoftが提供する無料のスマートフォンおよびタブレット専用パスワードマネージャーです。
機能は絞られているものの、2段階認証や生体認証といった有料級の機能を備えているのが特長です。
Microsoft Authenticatorの特徴
・生体認証(顔・指紋)でログイン可能
・ワンタイムパスワードを使った2段階認証が可能
・Microsoft アカウントでクラウドにバックアップ
対応しているOSは、iOSとAndroidのみとなります。
ビジネスにおいて、マイクロソフトのオフィスは、頻繁に使用されています。
ビジネスでマイクロソフトツールと認証が必要な場合は、必要になるパスワードマネージャーです。
パスワードマネージャー以外のパスワードを記録方法「SSO」とは
シングルサインオン「SSO」とは、ユーザー認証を行うと、紐づけられているシステム、サービスのID/パスワードの入力なしで、利用できる機能のことをいいます。
複数のID/パスワードを管理しなければならない場合に、入力の煩雑さが解消できるのです。
1つのマスターパスワードといわれるID/パスワードを入力すれば、追加で入力することなく、複数のシステム・サービスに入力できるようになります。
たとえば、企業で多くのサービスやアプリを使用している中で、ID/パスワードを個人で管理するのは大変です。全てのID/パスワードを覚えていなければなりません。
SSOのサービスを利用することで、一度の認証で全てのサービスにログイン可能になるのです。
企業で多くのシステム/サービスを使用する場合に、おすすめのサービスです。
まとめ
今回は、パスワードマネージャーの概要と代表的なサービスを説明してきました。
パスワードは、使いまわしはリスクが高く、セキュリティ性の高いパスワードを考える必要があり、ID/パスワードがあるサービスは増えています。
パスワードマネージャーを使えば、今までの手動で手間のかかる管理作業をする必要はありません。
しかし、注意点としてパスワード流出のリスクもあるので注意が必要です。
新たなサービスやアプリが増えている近年、パスワードを効率的に管理できるのは大きなメリットでしょう。
メリットやデメリットを理解して、自分・自社に合うパスワードマネージャーを活用しましょう。
メタップスクラウド編集部
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