IPアドレスがバレるとどうなる?住所や身元は知られないので大丈夫

IPアドレスはネット上で通信をする際に必要な、インターネット上の住所です。
近年、IPアドレスの流出事件が発生し「バレるとどうなるの?」「住所や身元などの個人情報を知られるリスクがあるのでは?」などと、不安になってしまうのも事実。
万が一、IPアドレスがバレても住所や身元は特定できません。
しかし、IPアドレスがバレると「プロバイダ(回線事業者)の管理者情報」と「都道府県を特定」される可能性があります。
本記事では、IPアドレスがバレても個人が特定されない理由や対策のほか、確認方法について詳しく解説しました。
「もしも」のときに慌てないためにも、本記事で不安や疑問を解消してください。
IPアドレスがバレても住所や身元は特定できない
結論を先にお伝えすると、IPアドレスがバレただけではても個人の特定はできません。
例えば「IPアドレスを特定できた」ことを理由に脅迫されても「東京都」のように、ざっくりとした位置情報しか特定できません。
IPアドレスから取れる情報は以下の2つです。
- プロバイダ(KDDI、docomoなど)の管理者情報
- 大体の場所を特定できる程度
試しに、筆者が使っているパソコンを「IPアドレスから住所検索:国、地域の特定|ラッコツールズ」で検索をしましたが、全く別の住所「東京都」と表示されました。
理由としては、プロバイダのサーバが東京にあるからです。そのため、個人の居場所を特定するのは不可能に近いといえるでしょう。
また、会社で使用している機器のIPアドレスが流出してしまっても「会社の誰か」までを特定するのは困難です。
なお、警察の捜査による開示請求ならIPアドレスから住所や身元を特定できます。
そもそもIPアドレスとは?バレて当然な理由
IPアドレスとはInternet Protocol Addressの略で、スマホやパソコン(機器)など1台づつに振り当てられる「インターネット上の住所」のことです。
インターネット上に繋がっている機器を識別するために振られた番号のことを指します。例えば「157.7.×××.××」※のような番号が、IPアドレス。
インターネット上に繋がっている全ての機器に振られており、この記事を読むのに使っているスマホやパソコンにもIPアドレスが割り振られアクセスできていますし、メールの送受信の際にも必要です。
IPアドレスを現実世界で例えるなら、手紙や荷物を送るときに使う住所のようなもの。ネット上で情報の受け渡しをしているのが「IPアドレス」と認識するとわかりやすいでしょう。
また、IPアドレスは以下2つの形式があります。
形式 |
例 |
IPv4 |
157.7.×××.×× ※ |
IPv6 |
2000:210:×××:c800:33c8:d2ff:fe8b:×××× ※1 |
※1:実際「×」には数字もしくは英語が入ります。
IPv4は従来からの形式で、そのIPアドレスは「0.0.0.0」から「255.255.255.255」までしか作れません。
機器(スマホ・パソコンなど)が普及したことでIPv4では枯渇するといわれており、IPv6という方法に変わりつつあります。
IPアドレスの種類
IPアドレスを大別すると「グローバルIPアドレス」と「プライベートIPアドレス」の2種類にわけられます。
それぞれのIPアドレスがバレたとしても個人を特定はできません。
インターネットに直接つながる役割をもつグローバルIPアドレスに対し、プライベートアドレスは、自宅や同じ建物内など決まった範囲で構成されています。
(1)グローバルIPアドレス
グローバルIPアドレスは、インターネットに直接つながっている機器に割り当てられるIPアドレスであり、誰とも重複しない唯一無二の番号です。
もしも、複数の機器が同じIPアドレスを持ってしまうと通信相手の特定ができません。
グローバルIPアドレスはWi-Fiルーターやサーバーそれぞれに割り当てられており、インターネット間のやりとりの際に使われます。
例えば、自宅にあるパソコンやプリンターはWi-Fiルーターがなければ、インターネットに接続できません。インターネットを利用する場合はWi-Fiルーターを経由する必要があります。
なお、インターネットに直接接続していない機器にはプライベートIPアドレスが使われます。
(2)プライベートIPアドレス
プライベートIPアドレスは、Wi-Fiルーターやサーバーなどのローカルネットワークの中で、割り当てられたIPアドレスです。
例えば、パソコンには「192.168.×××.×1」というIPアドレス、プリンターには「192.168.×××.×2」というIPアドレスを割り当てます。
ローカルネットワーク内で識別するためのアドレスなので、別のWi-Fiルーターと接続している機器とIPアドレスが被ってしまっても問題はありません。
ここまで、2種類のIPアドレスについて解説しました。
IPアドレスがバレてしまっても個人を特定することは不可能なため、安心して利用しましょう。
IPアドレスからバレる情報
万が一IPアドレスがバレてしまうと「住んでいる地域」「プロバイダなどの管理者情報」を特定できます。
しかし、IPアドレスは東京や大阪に集中しており、正確な位置情報を特定することは不可能にちかいほか、警察の操作や裁判所に認められない限りプロバイダは個人情報の開示はできません。
(1)住んでいる国や地域
世界のIPアドレスは「ICANN」という非営利団体により国ごとに割り当てられるため、公開されている表を確かめればIPアドレスから国を特定できます。
一方、日本国内のIPアドレスを管理しているのは「日本ネットワークインフォメーションセンター - JPNIC」という団体です。
国内のIPアドレスは都道府県ごとに割り振られていますが、そのほとんどが都市部に集中しているため、実際に住んでいる都道府県とは別の「東京や大阪」などと表示されることがほとんどです。
(2)プロバイダなどの管理者情報
プロバイダとは、インターネット回線を提供している「回線事業者」です。
IPアドレスがわかると、利用しているプロバイダやWebサイトの管理者情報の特定が可能です。しかし、公開している法人情報や地域などの情報のため、個人がバレることはありません。
プロバイダに保管してあるデータベースで検索すれば個人情報を特定できますが、警察による捜査や違法な権利侵害行為(誹謗中傷や犯罪行為)が裁判所で認められない限り、個人情報の開示はできません。
警察の捜査による開示請求ならIPアドレスから個人を特定できる
誹謗中傷や恐喝、刑事事件の捜査などを理由に開示請求がされた場合は、IPアドレスから個人を特定できます。
開示請求により、IPアドレスから個人を特定する際の流れは以下の通りです。ここでは、近年問題となっている「誹謗中傷」を例にして解説します。
- サイト運営者(TwitterやInstagramなど)に発信者のIPアドレスの開示を要求する
- IPアドレスからプロバイダを特定する
- プロバイダに対して裁判所から記録の削除禁止を命令する
- プロバイダから発信者情報が開示される
誹謗中傷が書き込まれたサイト運営者にIPアドレスの開示を要求する際は「発信者情報開示請求」を行います。
しかし、運営者には個人情報を守る義務があるため、この段階でIPアドレスを開示してもらえません。
そこで、運営者にIPアドレスを開示してもらうため、裁判所に「仮処分」を出してもらう手続きを行います。(発信者情報開示仮処分命令申立)
ここで重要となるのが、誹謗中傷の内容が事実が真実かどうかです。認められると、IPアドレスを特定でき、プロバイダから発信者情報が開示されます。
その他IPアドレスが悪用される事例
過去には、マルウェアをばらまいて日本人だけをターゲットにするために、IPアドレスから日本のユーザーを特定して攻撃していた事例があります。
マルウェアとは悪意のあるソフトウェアの総称を指し「ウイルス・ワーム・トロイの木馬」などが代表的です。
攻撃者はグローバルIPアドレスから、ターゲットの居住地を絞り出し悪用しようとしていました。
幸いにも、IPアドレスがバレたことによる被害は出ませんでしたが、IPアドレスを悪用され、脅威を痛感させられた事例なのです。
これらの脅威に備えるためにも、インターネットに接続する機器はファームウェアを常に最新の状態に保つ必要があります。
なお、ファームウェアとは、コンピュータを抑制するためのソフトウェアのことです。
自分のIPアドレスを知る方法
IPアドレスの種類やバレても問題ないことについて解説してきました。
「自分のIPアドレスが知りたい」という方も多いのではないでしょうか。
ここでは、Windows・MacのローカルIPアドレスを確認する方法のほか、グローバルIPアドレスの確認方法を解説します。
(1)WindowsでIPアドレスを確認する
Windowsの「コマンドプロンプト」で「ipconfig」と入力して「Enter」キーを押すと、現在使用しているIPアドレスを確認できます。
コマンドプロンプトを起動する方法は「Windowのスタートボタン」から「Windows システムツール」をクリックし、サブメニューの「コマンドプロンプト」をクリックします。コマンドプロンプトの黒いウインドウが開いたら「ipconfig」と入力しましょう。
なお、ショートカットキーを使う場合は「Windows キー」+「Rキー」を押して、名前検索欄に「cmd」と入力してコマンドプロンプトを起動できます。
(2)MacでIPアドレスを確認する
MacでIPアドレスを確認する場合「画面左上のアップルのマーク」から「システム環境設定」をクリックして「ネットワーク」の項目を開きます。
その後、ネットワークウィンドウ右下にある詳細をクリックして「TCP/IP」のタブをクリックすると、MacのIPアドレスが確認できます。
前述したWindowsとMacのローカルIPアドレス(Wi-Fiルーター)を知る方法でしたが、次の章でネットワークに直接繋がるグローバルIPアドレスの確認方法を解説します。
(3)無料で確認できるサイトを使う
ここでは、無料でIPアドレスを確認できる有名なサイト「確認くん」を使います。
確認くんにアクセスすると「あなたのIPアドレス」という項目の隣に、現在接続しているグローバルIPアドレスが表示されます。
その他にも「ゲートウェイの名前」「OSの解像度」「現在のブラウザー」など、さまざまな情報を見て読み取れるのではないでしょうか。
これらの情報はインターネットに接続するために、こちらから発信している情報です。複雑な英数字が並んでおり「個人を特定できそう」な雰囲気がでていますが、これだけの情報では個人の特定はできません。
なお、ワンクリック詐欺はこれらの情報を利用して心理的不安を煽り金銭をだまし取るのに利用されます。
IPアドレスがバレても悪用されない対策
万が一、IPアドレスがバレてしまい悪用されるのを防ぐためには「SNSなどに公開している、個人を特定できる情報」をネット上に書き込まないのが効果的です。
例えば、TwitterやFacebookなどのSNSに以下のような個人情報を公開している方も少なくありません。
- 本名
- 住んでいる地域
- 通っていた学校・会社
これらの情報を元に、インターネット上のサイトの中から同一のIPアドレスを見つけられる可能性も十分にありえるでしょう。
IPアドレスを知られるよりも、個人情報を公開している方がはるかに危険性が高いといえます。
また「警察庁:令和3年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」によると、サイバー攻撃を受けて復旧までに5,000万円以上の被害を受けた企業もあります。
以下のようにIPアドレスが流出しないための対策も重要です。
- パソコンをネットに直接接続しない
- 怪しいサイトにアクセスしない
- 個人情報をネット上に書き込まない
これらの対策は基本的ではありますが、IPアドレスを悪用されないための対策です。
まとめ|IPアドレスがバレても個人情報までは特定できない
IPアドレスはWebサイトを観覧する際やメールの送受信のときに必ず必要となる、インターネット上の住所。
現実世界で例えるなら、手紙や荷物を送るときに使う「住所」のようなものなので、バレやすいといえます。
しかし、IPアドレスがバレても個人までは特定できません。なぜなら「住んでいる国や都道府県」「プロバイダ等の管理者情報」が特定できる程度だからです。
本記事では、IPアドレスがバレる可能性は高くないと解説してきましたが、攻撃されるリスクはゼロではありません。
SNSでの個人情報の書き込みや怪しいサイトにアクセスしないなどの対策を取ることで、万が一に備えられます。
メタップスクラウド編集部
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