アカウント管理とは?メリットやID管理ツールの選び方をご紹介!

「アカウントが増えすぎて管理ができていない…。」
「退職者のアカウント管理の対応ができていない…。」
外部サイトやアプリケーションのアカウントを管理する「アカウント管理」。
特に、アカウントを管理しなくても、外部からの不正アクセスを受ける心配はないと思っている方が多くみられます。
しかし、アカウント管理は、一人ひとりが把握しておかなければならない大切な事項です。
今回は、アカウント管理のメリットやID管理ツールの選び方を紹介します。アカウントを管理すると、シャドーITのリスクを軽減できます。
業務の利便性やセキュリティを向上させたいと考えている方は、ぜひこの記事を参考にしてください。
アカウント管理とは
企業における「アカウント管理」は、社員が利用するアプリケーションや外部サイトのアカウントを管理することです。
社内システムを世界中の誰もが使えるものにしてしまうと、情報を盗まれたり不正アクセスの被害を受けたりする可能性が高まります。
さらに、アカウント数が多くなればなるほど、管理は煩雑になりやすいです。そのため、アカウントごとに付与されたパスワードやIDを設けてアカウントを管理しています。
なお、アカウント管理では、アカウントによってアクセスできる範囲があらかじめ決められている場合が多いです。
このように、企業ではアカウントごとにアクセスできる権限を管理してセキュリティを強化しています。
アカウント管理を行うメリット
本章では、アカウント管理を行うメリットをくわしく解説します。
アカウント管理にはさまざまなメリットがあるので、業務の効率化やアカウント情報を適切に管理したいと考える方は、ぜひ参考にしてください。
(1)外部からの不正アクセスの防止
アカウント管理は、外部からの不正アクセスの防止に役立ちます。
情報漏洩の原因として多いのは、外部からの不正アクセス・バグセキュリティホールウイルスワームなどです。
アカウントを管理すれば、外部からの不正アクセスを未然に防げるので安心です。
また、社員のアカウントを管理しておけば、不正アクセスによる被害が起こった場合でも迅速に対応できます。会社の重要な情報を守るためにも、アカウント管理を徹底しておきましょう。
(2)なりすましによる攻撃の防止
アカウント管理は、なりすましによる攻撃の防止にも役立ちます。
第三者によるなりすまし行為は、企業の大きな損失につながるので危険です。
名前や写真が本人のままで情報を盗まれる場合が多いため、なりすましに気づけないとあらぬ疑いをかけられてしまいます。
また、利用されているアカウントなら本人が気づく場合が多いですが、休職中や退職した方が残しているアカウントになりすまされるとなかなか気づけません。
そのため、アカウントを統合管理し、管理漏れやなりすまし行為にいち早く気づけるようにする必要があります。
さらに、不要なアカウントが残っていると、不正利用やデータの改ざんが起こりやすいです。
不要なアカウントを処理するためにも、アカウントを総合的に管理する必要があります。
(3)内部スタッフによる情報の持ち出し
アカウント管理は、内部スタッフによる情報の持ち出しの防止にも役立ちます。
情報が発達した現代において、会社の内部に悪意を持って個人情報を盗み出す人がいないとは言い切れません。
また、内部スタッフは情報漏洩が起きても疑われにくいので、その側面を利用して内部不正行為をはたらく人間もいます。
そのため、内部の人間でも簡単にアカウントを悪用できないように管理するのがおすすめです。
また、アカウント管理は手動運用で起こりがちなアカウントの削除忘れや更新漏れなどの不備の解消にもつながります。
(4)シャドーITのリスク軽減
アカウント管理は、シャドーITのリスク軽減にもつながります。
シャドーITとは、企業が把握していないサービスや機器を使って社員が仕事を進めることです。基本的に、業務に使用するサービスやデバイスは企業のシステム管理下に置かなければなりません。
最近は、テレワークの普及によって仕事場所を自己選択できる機会が増えています。
また、「少しなら大丈夫だろう」と個人的に使っているスマートフォンで仕事を進める方も多いです。このように、シャドーITは社員が業務の効率化を求めた結果に起こります。
しかし、社員が個人的に使っているデバイスはシステム下にないため、トラブルが起こった場合に対処できません。
そのため、業務に使うアカウントを全て企業側が管理し、個人的なアカウントの使用を禁止することが求められます。
また、シャドーITを減らすためには、安全かつ効率的にファイルの共有ができる環境づくりに努める必要があります。
シャドーITについて、詳しくは「シャドーITとは?リスク・対策法5選と検知できるサービスを紹介」で解説しておりますので、是非あわせてご参考ください。
アカウント管理に見られる課題点
本章では、アカウント管理に見られる課題点をくわしく解説します。
アカウント管理にはさまざまなメリットがありますが、いくつかの課題点も挙げられます。
課題点を把握せずに利用するとかえってトラブルに発展する可能性があるので、ぜひ以下を参考にしてください。
(1)手作業の管理による生産性の低下
アカウント管理を自動化している会社であれば容易ですが、アカウント管理が手動の場合、本来の業務に加えて行わなければなりません。
また、アカウント管理業務自体が直接利益を生むわけではないため、生産性が低くなる可能性があります。
さらに、アカウント管理を行った経験がない人に任せる場合は、そもそもアカウント管理の手順や業務内容をまとめたマニュアルを作る必要が出てきます。
そのため、手動によるアカウント管理を導入する場合は、業務の生産性やリスクをしっかりと考えてください。
(2)社員の入れ替わりによる業務の煩雑化
手動でのアカウント管理は、社員の入れ替えによる業務の煩雑化にもつながります。
異動が多い部署や社員の入れ替わりが激しい会社は、一人ひとりのアカウントを管理するのが大変です。また、1つ1つのアカウントの登録および削除を手作業で行うには、そのための人員を確保しなければなりません。
また、退職時や異動時にアカウントを消していない社員を手作業で見つけるのは面倒です。
特に年末や年度末の忙しい時期は業務が煩雑になりやすいため、アカウントの削除漏れに気づけない場合もあります。
(3)雇用形態の変化による業務の複雑化
手動でのアカウント管理は、雇用形態の変化による業務の複雑化にも影響を与える場合があります。
現代には、正社員だけでなく派遣社員・アルバイト・パートなどさまざまな雇用形態があります。
そのため、正社員だけでなく派遣社員・アルバイト・パートの方の人事情報も管理しなくてはなりません。
しかし、人事情報はコロコロ変わるため、従業員が多ければ多いほどアカウント管理に割く時間が増えてしまいます。
アカウント管理の主な方法
本章では、アカウント管理の主な方法を紹介します。それぞれの方法のメリット・デメリットを解説するので、ぜひアカウント管理方法を選ぶときの参考にしてください。
(1)メモに書く
アカウントを管理する最も古典的な方法は、アカウントの情報をメモに書いて残すことです。
インターネットにつながっていないため、ハッキングや不正アクセスのリスクがありません。
しかし、紙なので劣化したり紛失したりする危険があります。
また、物理的に誰かに盗まれる可能性はあるので、保管場所や管理環境に注意しなければなりません。
(2)SDカードや外付けHDDに保管
これは、SDカードや外付けHDDに保管してアカウントを管理する方法です。
紙にメモする方法に比べて扱える情報が多いので、多くのアカウント情報を保管したい場合におすすめです。
また、Excelファイルにまとめて管理すれば、共有や編集を簡単に行えます。
しかし、SDカードや外付けHDDが破損・紛失するとアカウント情報を失ってしまいます。
また、誤ってファイルを消してしまうと元に戻せない場合があるので、取り扱いに注意が必要です。
(3)ID管理ツールを使うと便利
パソコンやスマートフォンを利用する機会が多い会社の場合は、ID管理ツールを使ってアカウントを管理するのがおすすめです。
ツール内に複数のアカウント情報登録しておけるほか、パスワードを設定できるのでセキュリティ面でも安心です。
しかし、インターネットにつないで使うツールなので、情報漏洩の危険性が100%ないわけではありません。
また、インストールしてある機器が故障していたり充電が切れていたりすると使用できないので注意が必要です。
ID管理ツールの選び方
本章では、ID管理ツールの選び方を紹介します。
ID管理ツールを使うと、大量のアカウントデータを簡単に管理できるのでおすすめです。
また、ID管理ツールはセキュリティ面だけでなく業務の効率化も図れるので、利用を検討している方はぜひ参考にしてください。
(1)提供形態で選ぶ
ID管理ツールは、提供形態で選ぶのがおすすめです。
なお、ID管理ツールにはソフトウェア型・プライアンス型・クラウド型の3種類があります。
以下では、それぞれの携帯の特徴を解説するので、ぜひ比較して導入する際の参考にしてください。
①一般的に多く流通している「ソフトウェア型」
ソフトウェア型は、ID管理ツールの中で最も流通量が多い形態です。
しかし、初期設定とサーバーの導入が必要なので、アプライアンス型より導入ハードルが高いです。
また、製品によって搭載されている機能が異なるため、導入する際は必要な機能が搭載されているかを確認してください。
②導入ハードルが低い「アプライアンス型」
ソフトウェア型とサーバーがセットになっているアプライアンス型。
あらかじめサーバーがセットになっているのでサーバーを用意する必要がありません。
そのため、できるだけ導入に費用をかけたくない方や、導入ハードルが低いものを求めている方におすすめです。
③初期コストが低い「クラウド型」
クラウド型は、クラウド上でID管理ツールサービスを提供しています。
そのため、ソフトウェア型のように導入するコストがかかりません。
また、サーバーの導入が必要ないうえに拡張性が高いので、企業規模が拡大した場合でも安心して使えます。
クラウド型(SaaS管理)について、詳しくは「SaaS管理の重要性とは?3つの選定ポイントからデメリットまで解説」にて解説しております。。
(2)導入目的に合わせた機能で選ぶ
ID管理ツールは、導入目的に合わせた機能が搭載されているかで選ぶのがおすすめです。
良い機能が搭載されていても、目的に合わないものだとコストの無駄になってしまいます。
そのため、導入する際は必要な機能が何かをしっかりと確認してください。
① 利便性を重視するなら「スケジュール設定」や「ライフサイクル管理」
利便性を重視したい場合は、「スケジュール設定」や「ライフサイクル管理」を搭載したID管理ツールを選ぶのがおすすめです。
ライフサイクル管理が搭載されているツールなら、IDの登録や変更が簡単に行えます。
また、退職した場合の削除も簡単に行えるため、不要アカウントによる情報漏洩のリスクを軽減できます。
②効率性を重視するなら「プロビジョニング」や「統合ID管理」
業務の効率性を重視したい場合は、「プロビジョニング」や「統合ID管理」を搭載したID管理ツールを選ぶのがおすすめです。
プロビジョニング機能が備わっているものなら、サービスをリストに追加するだけでアカウントを自動で管理してくれます。
アカウントの追加や削除を手作業で行う必要がないため、アカウントの管理に割く時間を削減できます。
③コスト削減を重視したいなら「ライフサイクル管理」
コストの削減を重視したい場合は、「ライフサイクル管理」を搭載したID管理ツールを選ぶのがおすすめです。
また、ID申請を電子化する機能であるワークフローシステムが搭載されていれば、アカウント管理にかかる人件費とその他のコストを削減できます。
④安全面を重視するなら「シングルサインオン(SSO)」や「申請承認フロー」
安全面を重視したい場合は、「シングルサインオン(SSO)」や「申請承認フロー」を搭載したID管理ツールを選ぶのがおすすめです。
なお、シングルサインオンとは、1度ユーザー認証をするだけで、複数のシステムの利用が可能になる仕組みのことです。
また、より安全面を重視したい場合は、監査レポートや複数の認証方式の組み合わせの指定が可能なツールを選んでください。
さらに、誰がいつどのサービスを利用したかを確認できる、ログ検索ができるツールもおすすめです。
SSOについて、詳しくは「シングルサインオン(SSO)とは?基本やメリット・デメリットをわかりやすく解説」で解説しておりますので、是非あわせてご覧ください。
(3)システムの連携範囲で選ぶ
ID管理ツールは、システムの連携範囲で選ぶのがおすすめです。ツールによって一元化の対象となるシステムは異なります。
未対応の箇所が残ると余計な手間がかかってしまうので、対応OSや対応ディレクトリなどの記載を確認し、カバーできる範囲をチェックしてください。
(4)セキュリティ強化機能で選ぶ
ID管理ツールを選ぶ際は、セキュリティ強化機能もチェックしてください。
セキュリティ対策が万全でないと、不正アクセスによる情報漏洩の危険が高まります。
そのため、セキュリティ面を強化させたい方は、ぜひ以下の機能が搭載されたものを選んでください。
①特権ID管理
特権ID管理とは、高いレベルの権限が付与されているアカウントを管理することです。
通常のIDは1人に1つずつ与えられますが、特権IDは1つのシステムに1つしか存在しません。
そのため、特権IDを管理する場合は、特権ID管理機能付きのツールを選ぶのがおすすめです。
②多要素認証
多要素認証とは、複数の要素の認証によってログインを行うツールです。
複数要素の入力が必要となるため、外部からの不正アクセスやデータの改ざんを防げます。
また、複数回認証をミスするとログインできなくなる機能付きのID管理ツールもおすすめです。
多要素認証について、詳しくは「多要素認証とは?必要性と導入時のポイント3つを解説」をご覧ください。
③パスワードの複雑化
セキュリティ面を強化させたい場合は、パスワードの複雑化してくれる機能付きのID管理ツールを選ぶのがおすすめです。
パスワードを複雑化すれば、外部の人間による不正アクセスを防止できます。
また、ユーザー個人単位でさまざまな制限をかけられる機能が付いたツールも人気です。
パスワード設定について、詳しくは「安全なパスワード作成の5つのポイント、間違った3つの習慣まで解説」で解説しておりますので、是非あわせてご覧ください。
(5)予算に合わせて選ぶ
ID管理ツールは、予算に合わせて選ぶことがおすすめです。効率を重視することも重要ですが、導入にコストがかかりすぎると生産性が低下してしまいます。
そのため、セキュリティ面と合わせて予算に合っているものかどうかもチェックしてください。
(6)運用のしやすさも要チェック
ID管理ツールを選ぶ際は、運用のしやすさもチェックしましょう。
機能が良くても運用がしにくいものだと効果が半減してしまいます。また、海外製のツールを導入する場合は、日本語で使えるかどうかを確認してください。
まとめ
今回は、アカウント管理のメリットやID管理ツールの選び方を紹介しました。
アカウント管理は、外部からの不正アクセス防止やシャドーITのリスクの軽減に有効的です。
会社に合ったID管理ツールを導入して、セキュリティの強化と業務の効率化を図りましょう。

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メタップスクラウド編集部
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