ログ管理とは?なんのためか、どこまでやるか、メリットデメリットまで解説

ログ管理はトラブル時の緊急対応に役立ったり不正アクセスを防止できたりするため、企業では必要不可欠です。
ただ、ログ管理についていまいち理解していなかったり、ログ管理をすることで何ができるのかを知らない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、ログ管理の概要やメリット・デメリットなどを解説します。
ログ管理について理解すればセキュリティの知識が深まり、安全で安定した業務が可能になります。
ログ管理とは?記録をとって管理すること
ログ管理とは、デバイスの操作や通信履歴などデータの記録を取って管理することです。パソコンで作業をしたりサービスを使ったりすると、ログと呼ばれる履歴が残ります。
ログを管理することで、いつ・誰が・何をしたかが把握できるため、不正防止やトラブル発生時の原因究明に役立てられるケースが多いです。
特に近年はサイバー攻撃や不正アクセスが増えているため、ログ管理の重要性は増しています。
しかし、ログを手作業で一つひとつ管理するのは難しいため、ログ管理システムを使って管理するのが一般的です。
情報漏えいの原因について、詳しくは「クラウドの情報漏えいはなぜ起こる?4つの原因や事例、3つの対策を解説」をご覧ください。
ログ管理はどこまでやる?7種類+αのログ
ログにはさまざまな種類があるため、ログ管理をするにあたってログの種類を把握する必要があります。
主なログの種類は、下記の8つです。
- 操作ログ
- 認証ログ
- イベントログ
- 通信ログ
- 通話ログ
- 設定変更ログ
- エラーログ
- 監視カメラやドアの開閉などのログ
それぞれ特徴があるため、チェックしておきましょう。
(1)操作ログ
操作ログとは、パソコンで行った操作の記録や履歴を指します。具体的には、下記のような操作です。
- パソコンの電源をつけた/消した日時
- インターネットブラウザの閲覧履歴
- 各種ファイルの閲覧・編集・作成
- サーバーへのアクセス
- プログラムのインストール・起動
操作ログを管理していると、誰がどのような操作をしたかがわかります。情報漏えいやウイルス感染の際に、管理していた操作ログから原因を突き止められるケースもあります。
(2)認証ログ
認証ログは、システムやインターネット上のサイトへのログイン履歴を指します。このログイン履歴には、ログインした日時だけではなく、ログインできなかった履歴も残ります。
ログインに失敗することは誰でもあると思いますが、何回も失敗しているようであれば怪しむべきです。不正アクセスやサイバー攻撃を受けている可能性があります。
また、認証ログをとっていると、社内のシステムへのログイン履歴がわかるため、社員が自宅で作業していないかがわかります。時間外労働やテレワークの管理に役立てられるでしょう。
(3)イベントログ
イベントログとは、パソコンやシステム上で起こる特定の動作や現象のことです。主に重要な情報やエラーが記録されており、種類としては下記3つに分かれます。
- 情報
- 警告
- エラー
イベントログを収集して管理していると、必要なときに解析し、パソコン上の不具合を発見しやすくなります。安定した稼働を目指すうえでは、イベントログの管理は欠かせません。
(4)通信ログ
通信ログは文字通り、通信の記録を指します。具体的には、パソコンとサーバー間の通信内容や通信日時などで、エラー記録も保存可能です。
通信ログを管理・解析すると、インターネット環境の改善や業務効率改善に役立てられます。
特にIT系でインターネットが業務の基盤になっている企業は、通信ログをもとに業務効率やサービス内容の改善を見込めます。
(5)通話ログ
通話ログは文字通り、通話の記録です。具体的には、下記のような項目です。
- 着信・発信日時
- 電話番号
- 連絡先名
- 通話開始時間
- 通話時間
通話の記録全般を見ることができ、社員間の連絡状況が把握できます。万が一、内部機密の情報漏えいが起きた場合、通話ログをたどると原因が把握できる可能性があります。
(6)設定変更ログ
設定変更ログは、パソコン本体やシステムの設定を変更した際に残る記録です。具体的には、下記のような内容を確認できます。
- 設定を変更した日付
- 設定を変更したユーザー
- アクション
設定を変更してデータが消えたり不正が行われたりしたときに、設定変更ログをたどれば原因がわかるケースがあります。
また、不正などはなくても、設定を変更した後は不具合が起きやすいです。なぜ不具合が起きてしまったかがわかれば、戻すこともできます。その場合は、設定変更ログを確認しましょう。
(7)エラーログ
エラーログは文字通り、エラーが発生した時ときに残る記録です。エラーはパソコンだけでなく、システムやアプリケーションでも起こります。エラーログはこのような各種エラーを記録可能です。
具体的には、下記のような項目が表示されます。
- エラー発生日時
- エラーの重度
- エラー番号
- エラー説明
- メッセージ本文
不具合やシステム障害などが発生した場合、エラーログを確認すると原因を特定し、再発防止に役立てられます。
(+α)監視カメラやドアの開閉などのログ
パソコンの操作やアクセス以外に、物理的なログも存在します。具体的には、下記のようなものです。
- 監視カメラの映像
- ドアやキャビネットなどの開閉
- 建物や部屋への入退室
物理的なログは、人間の行動を直接的に表します。そのため、不正や情報漏えいが起きた際は物理的なログをたどることによって、原因を解明できる可能性があります。
ただ、入退室やドアの開閉を社員に記録させるのは現実的ではありません。その場合は電子ロックなどを使えば、簡単に記録できます。
ログ管理を行う5つのメリット
本章では、ログ管理を行うことで、どのようなメリットがあるかを解説します。ログ管理を行うメリットは、下記の5つです。
- 不正の発見や抑制に役立つ
- 不審な動きを追跡できる
- 障害発生時の原因究明に役立つ
- IT資産管理に役立つ
- 働き方改革に役立つ
メリットを把握し、ログ管理の重要性を知っておきましょう。
(1)不正の発見や抑制に役立つ
ログ管理を行うと、不正を発見したり抑制したりできます。簡単に言うと、セキュリティの強化が可能です。
もし外部から不正なアクセスがあれば、操作ログや認証ログに残っている可能性があります。また、内部で不正が起きた場合も、操作ログや設定変更ログに証拠が残っている場合があります。
異常なログに加えて正常なログも残しておくことで、個々の動きを把握可能です。それにより、不正の発見だけでなく、前もって抑制することもできます。
(2)不審な動きを追跡できる
ログ管理を行うと、不審な動きを追跡できます。不審な動きを追跡できると、不正の発覚や情報漏えいを未然に防ぐことに役立ちます。
不審な動きとは、具体的に下記のようなものが挙げられます。
- エラーを何度も繰り返している
- 業務に関係ない使い方をしている
- 勤務時間外にログインされている
- さまざまなファイルをダウンロードしている
不審な動きを発見できれば、早急に対策が可能です。内部不正や情報漏えいのリスクを下げられるため、ログ管理のメリットと言えるでしょう。
(3)障害発生時の原因究明に役立つ
ログ管理をしていれば、障害が発生した際の原因究明に役立ちます。障害が発生したときには、設定変更ログやエラーログを確認するとよいでしょう。
設定を変更したことにより障害が発生したのであれば、設定を戻したり他の設定に変更したりしましょう。
また、定期的にログ管理を行って確認していれば、事前に障害発生を防止したり、対策を立てたりできます。
ログ管理をすることで、日々のシステム稼働状況を把握し、障害発生時に迅速に対応できるため、メリットと言えるでしょう。
(4)IT資産管理に役立つ
ログ管理は、IT資産管理にも役立ちます。IT資産管理とは、IT関連の資産を管理することで、下記のようなものを主にIT資産と呼びます。
- ハードウェア(パソコンやUSBメモリなど)
- ソフトウェア(システムやOSなど)
- ライセンス(サブスクリプションなど)
各企業では、今や重要な機器や情報を扱っているケースは珍しくありません。万が一、窃盗が起きれば情報漏えいにつながり、情報漏えいが起きれば企業の信用に関わってしまいます。
IT資産の管理は今後さらに重要になってくるため、ログ管理は徹底しておきましょう。
IT資産管理については「IT資産管理とは?対象や目的、効率的に行う方法を解説!」で解説しております。あわせてご覧ください。
(5)働き方改革に役立つ
働き方改革ではフレックスタイム制やリモートワークなど、さまざまな働き方が広まってきていますが、管理が大変です。ログ管理は、働き方改革にも役立ちます。
働き方改革に役立てられる情報としては、下記のようなものがあります。
- 社内システムへのアクセス状況
- 操作履歴
- システムやアプリケーションの稼働状況
ログ管理が適切にできれば、社員が一度にオフィスに集まらなくても大丈夫です。そのため、働き方改革を進める際には、役立つでしょう。
働き方改革について、詳しくは「働き方改革とは?関連する8つの法律や長時間労働・有給取得などのポイントを解説」で解説しております。
ログ管理で注意すべき点・デメリット
ログ管理はメリットも多いですが、実行する際には注意すべき点やデメリットがあります。主には、下記の2つです。
- 一元管理が難しい
- 管理コストが高額になりやすい
まずログ管理は、システムごとに行う必要があります。そのため、扱っているシステムが多い場合には、データ量が膨大になりやすいです。
膨大なデータを管理するには難しい部分もあり、一元管理をしたい場合には工夫が必要です。
また、ログといってもさまざまな種類があるため、自社に必要なログと必要でないログを見極める必要があります。見極めをしないと不要なデータが多くなり、管理コストが高額になりやすいです。
自社の運用体制に合わせて、カスタマイズしましょう。
ログ管理システムの主な機能
本章では、ログ管理システムにはどのような機能があるかを紹介します。ログ管理システムの主な機能は、下記の5つです。
- ログの収集
- ログの保存
- ログの監視
- ログの分析
- ログのレポート集計
ログを管理するには必要な知識のため、把握しておきましょう。
(1)ログの収集
ログの収集は、ログ管理でも根幹となる部分です。ログを収集することで、分析して改善に役立てられます。
通常、ログはシステムやアプリケーションごとに蓄積されますが、ログ管理システムを使えば一括で取得可能です。また、ログは自動で収集してくれるため、手作業で取得する必要はありません。
注意点として、ログ管理システムで対応できるフォーマットは決まっています。自社のシステムに対応しているか、あらかじめ確認しておきましょう。
(2)ログの保存
ログを収集したら保存しておきます。保存しておくことで、万が一不正や情報漏えいなどが起こったときに調査できます。
収集したログは各システムに保存するのではなく、ログ管理システム専用のサーバーへ保存するのが有効的です。
ただ、年数が経ってくるとデータ量が膨大になるため、データを圧縮して保存したり一定期間を過ぎたら削除される設定にしたりするのがおすすめです。
(3)ログの監視
ログ管理システムでは、ログを収集・保存しながら監視もできます。リアルタイムでログを監視し、異常なログやエラーを検知した時にアラートを鳴らせます。
また、エラー以外に指定したログや普段とは違う行動をしたときにも、アラートを鳴らすように設定可能です。
アラートを鳴らすことで、内部・外部の不正な動きや不具合などのトラブルにすぐ対処可能です。すぐに対処できると、安全で安心な業務ができるようになります。
(4)ログの分析
収集・保存したログは分析することで、効果を発揮します。ただ、ログはそのままでは使えないため、変換が必要です。
ログを分析すると、異常なログの検出数や、外部からどのような攻撃を受けたかを知ることができます。これにより、セキュリティレベルを上げ、エラーが多いシステムの改善も可能です。
万が一、不正アクセスや情報漏えいがあった際には、ログを分析すると原因が特定できる可能性があります。
(5)ログのレポート集計
すべてではありませんが、ログ管理システムの中にはログのレポートを集計して、出力してくれるものがあります。
気になるログがあれば、前もって設定することでレポートを確認可能です。いちいち探して確認する必要がないため、管理者の負担を減らせます。
まとめ
ログ管理はさまざまなデータの記録を取って管理することを指し、サイバー攻撃や不正アクセスの増加により重要性を増しています。
ログには操作ログや通話ログなどの種類があり、ログ管理を行うと、不審な動きを追跡できたり働き方改革に役立ったりします。
ただ、一元管理が難しかったり管理コストが高額になりやすかったりするため、注意しましょう。
ログ管理は今後さらに重要になってくると予想されるため、本記事を参考に、ログ管理について理解を深めておきましょう。

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メタップスクラウド編集部
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